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Contribution & Interview

インフラ安全点検の世界①

2020.8.31

日常生活や経済活動に欠かせない、道路や橋、トンネル。これらのインフラは不具合がないことが当たりまえとされています。では、日々どのような点検がされているかご存知でしょうか。
今回はそんな点検の世界のご紹介です。

インフラの安全点検が注目されるようになった大きな事故として、記憶に新しいのは「笹子トンネル事故」ではないでしょうか。中央自動車道の上り線でトンネルの天井が落下した事故で、9名もの尊い命が失われました。

この事故も契機となって、2014年には国土交通省によって「道路および鉄道のトンネル、2m以上の道路橋などを、5年に1回の頻度で点検することを義務付ける省令」が施行されています。

とはいえ・・・特に道路に関する施設の管理者はそのほとんどが地方自治体です。点検員の手配も難しい上に、小さな自治体ほどその費用を捻出することも難しいのが実態です。

具体的な点検内容を簡単にご説明すると・・・日々の点検は、ほんの小さなヒビ、サビ、歪み、浮きなどを「プロの『目』」でチェックすることが基本。

例えばトンネルのヒビの確認を見てみましょう。点検員が「ヒビ」と思われるところにチョークで印を付けます。これをトンネルを上から見たかたちの「見下げ図」として手作業で書き写します。

ヒビなのか苔などの付着物なのか、ただの汚れなのかを判断するのは熟練の点検員の技術。トンネルの明るさや構造によっては判断がとてもむずかしい作業で日数もかかりますし、そのための交通規制も必要となります。また、見下げ図を作成する際には転記ミスの恐れもあります。

交通規制をともなう点検ですので渋滞や事故の原因にもなりうる危険な作業ですし、高速道路などの有料道路でこの点検を行うことは、機会損失にもなります。

従来のトンネル点検のイメージ

そこで注目されているのが「画像による診断」技術です。トンネル等の点検は国交省が定める「点検要領」に従って行われています。2019年2月にこの点検要領が改定され、これまで「目視」のみ認められていた点検手法に「近接目視と同等の情報が得られると判断した方法」が加えられました。

手法は様々ですが、基本は「動画や静止画でトンネル等を撮影」し「AIなどを駆使してヒビ割れ等を自動または手動で検知する」方法が認められたのです。

熟練の点検士がいなくても、交通規制をしなくても点検ができる画期的な方法として注目されています。

サウスがお手伝いしている「トンネルの画像点検」では、高精細の一眼レフデジタルカメラを使用しています。これにより、走行中の車上からの撮影でも「最小0.1mm」のヒビ(クラック)を検出することが可能となりました。

ヒビ割れなど箇所を記載した「正確な損傷図」を作成することは、安全で効率的な修繕計画の第一歩です。日本の流通基盤を支えるお仕事として、気を引き締めて取り組んでいます。

トンネルを通る際にはこうした地道な点検が行われていることも思い出し、安全運転をしていただけたら嬉しいです。

HIGHLIGHT

トンネルはじめとしたインフラの安全点検は「人の目」が頼りでしたが、徐々に機械化が進んでいます。