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Contribution & Interview

バスがつなぐものがたり

2020.12.07

新宿三丁目駅の近く、高層ビルが立ち並ぶ一角にポッカリと空いた空間がある。
「バスあいのり 3丁目 TERRACE」と名付けられたガーデンレストランだ。都会の真ん中のオアシスのような空間。コロナ禍に生まれた新業態かと思うとそうではなく、新たなコンセプトを実現するために生まれたレストランだった。

新宿とは思えないたたずまい

キーワードはバス

入店時に目を引かれるのはその空間と、入口付近で販売されている野菜。

新宿のど真ん中とは思えない緑が豊かで、ゆったりしたテラスが広がっている。ただし、少し目線を上げるとそこはやはり新宿。周囲を高層ビルに取り囲まれており、見える空は消して広くはない。 それでもしばらくここにいると、都会にいることを忘れてしまう不思議な空間だ。

入り口付近で販売されていた野菜は日本各地から「高速バスの空きトランク」を使って運ばれてきたもの。この日は茨木交通、JRバス東北、杉崎高速バスで運ばれてきたものが販売されていた。

産直野菜が売られている

販売されている野菜だけでなく、こちらのレストランで提供されるメニューの素材も高速バスで運ばれたもの。魚介類や肉類も四万十、宇和島、広島、高知、八ヶ岳など全国各地から運ばれてきている。「新宿の真ん中で日本中の食を」がこのお店のコンセプトになっている。

高速バスで運ぶため、食材はどれも新鮮でおいしい。「朝どれ野菜」などをすぐ運ぶこともできるからだ。野菜はスーパーで買うものと比べると味が濃いと感じた。

実はこのお店の店舗もバスのキッチンカー。注文を受けドリンクの提供を行うものと、食事提供用の2台が設置されている。木製のテラスがあるおかげでバスであることにはほとんど誰も気が付かないが、隙間からのぞくと確かにタイヤがあった。

エコもテーマ

食材を「日々巡航するバスの空きトランク」を使って運ぶもう一つのメリットはエコになること。配送用のトラックを手配するのではなく「あいているスペースを使って運ぶ」ことから燃料が大幅に削減できる。

さらに店舗でもエコに気を配っている。食器類はできるだけプラスチックの利用を避けてている。丼類はすべて紙製。プラスチック製の食器のような匂いもなく、見た目より丈夫で、スープが漏れることもない。スープが入っていたカップは別皿に注いだ後の液だれがなく使いやすいものだった。

将来的にはストローやドリンクカップも紙製にしていきたいと、店舗スタッフは語る。

紙製のお皿

100のものがたり

庭に設置された大型ビジョンでは産地の景色や収穫の様子が上映されている。お店のコンセプト「地域の様々な魅力を100のものがたりとして発信」をここでも実現している。

食事だけでなくスイーツを楽しむカフェとして、またクラフトビールを楽しむバーとしても利用できる憩いの場。すべての席がテラス席のためコロナ禍でも行きやすい。

生産者と消費者の新しいつながり方がここから広がっていくとともに、来店者のものがたりもここから広がっていくかもしれない。

SHPOINFO

バスあいのり 3丁目 TERRACE
東京都新宿区新宿3三丁目16番先
03-5315-0741
Website