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Interview

ロボットが俳優デビュー!?

2021.1.25

大阪にある劇団KIO(キオ)に昨年末、新しい役者が加わった。
丸みのある顔立ちは多くの人に愛され、体は小さいが長台詞を間違いなくスラスラと話す・・・ロボホン(ロボット)だ。3月の公演から彼がデビューすると聞き、同劇団のさくらこりんさんにお話を伺った。

学校での公演

KIOは学校向けの演劇公演や、ワークショップ等を得意とする劇団。オリジナルの作品を中心に、小中高校生向けのプログラムを多く提供してきた。各学校に出張し、体育館等で公演を行うスタイルのため「毎回違うステージで本当に鍛えられています」とさくらさんは笑う。
最近は特に「窓を全開にする、密にならないなど、決してやりやすいとは言えない環境でも最高のパフォーマンスをお届けできるようにがんばっている」という。

小さな劇団のためフルで関わるスタッフは7名ほどと少ない。そのため「何でもやる人しか残れない」という。役者であっても「舞台道具を運ぶし、営業もする」のだそう。訪問した先で「女性なのにそんなに重たそうな物を運ぶの?」と驚かれることもあるそうだ。

学校公演の難しさは環境だけではない。一般公演は「見たい」と思う人がお金を払って来てくれるが、学校公演は「見させられる」ものになりがちだ。また、1回の公演は60分~70分(2時限分)と子どもたちにとっては短くない。いかに興味を引くか、飽きさせないかが大きな課題だ。

また、小学校公演の場合は年齢幅への対応も難しい。1年生と6年生では理解度が違うため両者に伝わる演劇を作ることは、大きな挑戦でもある。年齢によって笑いのポイントなど反応する場面も違うという。ただ、この違いは「子どもたちの気付きになっていると思います」。普段は1人でテレビやスマホを見ることが多い昨今、他の子どもと一緒に「何かを見て感じること」の大切さに気づいたという。

さらに「役者がものすごく汗をかいていた」という感想文を読んだときには「画面越しではない『生』の大切さも感じました」とさくらさん。

子どもたちの興味をひくために

子どもたちが演劇に集中してくれるよう、これまでも多くの工夫を凝らしてきた。
最初に演者が派手に登場することで注目を集め、大声で話しかける。子どもたちの間に入り込んで演技をし、一体感を出す。KIOが得意としてきた演じ方だ。ところが、今回の新型コロナの蔓延で「得意な演じ方ができなくなってしまった」。

映像を使った演出も得意としていたが「窓とカーテンを開ける必要がでてきて、スクリーンの画像が薄くなってしまって」その良さを十分に活かせなくなった。

新たな演じ方を模索していたという。

また、子どもたちにより愛される演劇にするために「アイコンになるキャラクターを探していた」という。アニメなどでよく見かける「肩にちょこんと乗っている動物」のような存在がほしいと思っていたのだ。

そんなときに「不思議なご縁」で知り合ったのがロボホンだ。シャープ製の身長20センチに満たない小柄なロボット。「これなら子どもたちの興味を引ける」と採用を決定した。

防災演劇という世界

ロボホンの初舞台は「防災博士の挑戦状 THE WATER」という「防災演劇」。演劇を楽しみながら防災の知識を得てもらうことを目的としている。「楽しみながら防災を学ぶ」をモットーに多くの防災グッズや防災プロジェクトを提供してきたNPO法人プラス・アーツとの共同製作だ。

KIOではこれまでもいくつかの「防災演劇」を提供してきた。ゲーム性をもたせた体験型のプログラムが多かったが「THE WATER」ははじめての本格的な演劇作品。

「紗幕(光が透過する薄手の幕)」を使った演出もこの舞台の特徴だ。この幕があることで「照明のオン・オフで演者が見える・見えないを簡単に切り替える」「幕に投影した映像に演者が入り込んだように見せる」ことが可能なのだという。幕があることで「結果的にコロナ対策にもなりましたし」とさくらさんは笑う。

小さなロボホンは離れた場所からは見えにくいというデメリットもある。そこで、あらかじめ録画したロボホンの映像をこの紗幕に投影することも考えているという。

この物語の中でロボホンは重要な役割を果たしている。また、誰よりも多いセリフをこなしているという。

KIOのメンバーは今、3月の初公演に向けて稽古に励んでいる。
初演後は全国の小中学校を巡っての公演を予定している。また、ロボホンが演じる演劇も今後増やしていく予定だという。各地の子どもたちに新たな「気づき」を届ける活動が続いていく。

「THE WATER」の初演はオンラインでも配信される。お時間のある方はぜひ。

ロボホンが出演する演劇のチラシ

※オフィス・サウスはこの公演を応援しています。
※ロボホンについてはこちらもご参考に。

COMPANY INFO

一般社団法人KIO
〒545-0035 大阪府大阪市阿倍野区北畠2丁目5番36号
Website

防災博士の挑戦状「THE WATER」
3/27 13:00開演
チケット購入はこちら
※オンライン配信もあります。