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Interview

離れていても一緒に戦える!(音響通信ものがたり㊤)

2021.5.10

ヒーローと一緒に

TVで「イバライガー(戦隊モノのドラマ)」を食い入るように見る男の子。

TVの中で、ものがたりはクライマックスに。ダマクラカスン(悪者)が登場し悪事をはたらこうとするところを、イバライガーがいつものようにカッコよく退治!・・・するかと思いきや、なぜかまったく動けない。

その様子をみた男の子は手元のヒーローベルトを取り出し、装着。イバライガーにパワーを送る。

イバライガーと男の子はベルトを通じてつながっており、一体となって戦う。ついにはダマクラカスンを撃退する

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男の子が装着しているヒーローベルトは、イバライガーの戦いに合わせて光り、音が出る新しいおもちゃ「CONTENTS SYNC TOY」だ。

支えているのは音響通信

このおもちゃはTVからの信号を受け取って動くため「ものがたりと完全同期」している。子どもや保護者が、ものがたりに合わせて動かしているのではない。

「同期」を支えているのは「音響通信(Another Track®)」という技術だ。

音響通信とは「音」を使って情報を送る技術。主に「人の耳には聞こえない音」を使う。モスキート音と呼ばれる音とイメージ的には同じで、正確には「人に聞こえているが認識できない音」だ。

冒頭の「イバライガー」の動画のクライマックスにはこの「音の信号」が埋め込まれている。「聞こえない」音を使っているため、ストーリーを邪魔することはない。

ヒーローベルトにはそれを受け取れるマイクがついており、信号に応じて「光る」「音を出す」などの動作をするようになっている。

音響通信で使っているのは「音」のためTV側に新たな機能や機材を追加する必要はない。ドラマ制作側も「音の信号」をクライマックスに埋め込むだけでよく、新たな設備投資の必要もない。

コロナでうまれた使い方

「Another Track®」を提供しているエヴィクサー株式会社は、もともとはライブ会場やスタジアムといった公共空間でこの技術を活用していた。例えば、能や歌舞伎の同時解説、イベントの応援アプリとして使われている。

イベントがコロナ禍で行えなくなる中「改めて空気感というものを考えるようになりました」と同社の瀧川社長は言う。オンライン会議、オンラインライブ・・・聞くだけ、見るだけではない何かを考えたときに「僕らの出番があるのでは、と思った」。

ライブやイベントは「一体感」「空気感」が楽しさのひとつ。オンラインでは得にくい感覚だが、音響通信を使えば解決できるのではと考えた。そして2020年9月、音響通信に対応した「Home Sync Light(ライト)」をライゾマティクスと共同開発、オンライン配信ライブに技術を提供し、日本で普及する有数のオンライン配信プラットフォームで実証を行った。

ライブ会場では曲や演出にあわせて「音の信号」を配信。視聴者(今回については実証実験につき配布されたデバイスは限定80個程度)は手元のライトの電源を入れるだけ。ステージの照明に合わせて様々な色で光り、リズムに合わせて点滅する。ライブ会場と視聴空間が一体化する。

さらに2021年4月、冒頭のヒーローベルトの開発が博報堂HYTEKと共同で発表された。
「見る、聞く」だけのコンテンツから「参加する」「一体となる」コンテンツへ。音響通信がコンテンツを新たなステージに引き上げている。

次回は「社会課題へのチャレンジ(音響通信ものがたり㊦)」です。

COMPANY INFO

エヴィクサー株式会社
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104-0033 東京都中央区新川1-17-22 松井ビル1階
CONTENTS SYNC TOY