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Interview

新規事業の育てかた② piglyph(ピグリフ)

2021.7.19

前回ご紹介したTRIBUSから羽ばたこうとしているプロジェクトがある。「piglyph(ピグリフ)」というオンラインシステムだ。チームリーダーとしてこのプロジェクトに取り組む渡辺さんにお話を伺った。

言葉がイラストに!

piglyphの最大の特長は「音声やテキストをリアルタイムでイラストにできる」こと。

例えばシステムに「歩きスマホは危険です」と話しかける。すると音声認識プログラムが音声をテキスト化するとともに関連するイラストをその周りに表示してくれるのだ。

上図がその時の画面の様子だ。ピンクの点線の枠内にテキスト化された音声が表示されている。さらにその外側に「歩く」「スマホ」「危険」などシステムが拾い出したキーワードをイラスト化したものが表示されている。

ユーザーは出てきたイラストから自分のイメージに近いものを選び、画面内にスタンプのように配置することができる。配置の際には、サイズや向きも自由に設定できる。

歩くイラストを2つ配置したところ。向きの調整、サイズの調整ができている。
動作イメージ動画はこちらYou Tube

オンライン模造紙がアイデアを発展させる

piglyph起動時の画面は真っ白だ。これは例えるなら「オンライン模造紙」。模造紙には複数の人が同時に書き込むことができ「アイデアを広げる、発散させる会議」や「アイデアを収束させる会議」に適している。

真っ白な初期画面

模造紙自体の拡大縮小や表示箇所の移動も簡単にでき、全体俯瞰と部分考察を交互に行う事もできる。しかも、言葉ではなくイラストで表現されているから「直感的に」捉えることができ、イメージの共有もしやすい。

インタビュー時に参加者が自己紹介を想定して作成した画面。3名がそれぞれの出身県や特産物、自身の来歴や好物などを配置している。

ビジュアルで伝えたい

上図の左下にある「エチオピアの国旗」はリーダーの渡辺さんが配置したもの。実は「エチオピア」がpiglyph発案の原点だという。

エチオピアで中学生に理科を教えた経験があるという渡辺さん。「現地語のアムハラ語が全くわからない中での授業でした。私も子どもたちも、お互いに何を言っているかわからない。写真やイラストを使ってどうにかこうにか授業をしました」。
その時「言語ではなくビジュアルで伝えたい」という思いが生まれたという。

現在は日本語のほか、英語・中国語に対応しており今後も対応言語を増やしていく予定だ。さらに今後は、「文脈を理解する」改良を加えていきたいと言う。
「言葉の壁を超えて、『世界言語』として浸透させることが目標です」と渡辺さん。

当たり前のツールを目指して

カメラの画像にpiglyph画面を重ねる「重畳バージョン」の開発も進めている。こちらはオンラインイベント等での活用を目指している。

重畳バージョンの画面。中央は渡辺さん。

重畳バージョンはオンラインで行われた社内表彰式で利用されたという。表彰を受ける方を背景に同僚たちが「おめでとう」のコメントやイラストを周りに追加、オンラインならではの祝い方が実現できたと好評だった。

6月からは学校法人角川ドワンゴ学園のオンラインワークショップでの活用も決まっている。そこでの経験ももとに「まずは使い勝手の良いシステムにすることを考えています。とにかくいろいろな方に使っていただきたい。使うことではじめて今まで気づかなかった活用方法が見つかることもありますから」。

アクセラレータープログラムを終えたpiglyphチームは、今後2年以内の事業化が求められている。しかし、渡辺さんの目標はさらに上にある。「piglyphはあくまでもツールです。これを完成させたら、世界中の人と意見交換しながら新しいことをやってみたいです」。

応援したいプロジェクトだ。

INFO

TRIBUS(トライバス)-リコーのアクセラレータープログラム
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