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【寄稿】味のバランス

2021.8.2

スイカが美味しい季節になりました。みなさんはスイカに塩を「かける派」ですか、「かけない派」ですか。
今回はスイカと塩のような「味のバランス」のお話です。外山さんからの寄稿です。

塩の味

塩味に丸みがなく、尖った感じになる原因は、塩の質による場合が多い。高純度の塩は、塩化マグネシウムなど不純物(ニガリ成分)が少ないため、コクがなく塩味がなじみにくくなる。漬物や干物の味にも、塩は微妙に影響する。

食べる速さによっても塩味の好みは変わる。早食いの人は、味を十分関知しないうちに飲み込むため、濃い味を求める傾向がある。逆に、食べるのが遅い人は、薄味を好むといわれる。

味の抑制効果

二種以上の異なる味を混合したとき、双方の味が和らぐことを味の抑制効果という。塩味と酸味では相互に「抑制効果」がある。

塩味と梅の酸味をほどよく調和させることを「塩梅」という。本来は「えんばい」だが、ほどよく調和するという意味の「按排」と混同され「あんばい」と発音される。漬物は乳酸発酵による酸味と塩加減が調和し、塩味にまるみが出たとき「いいアンベェー」に漬かったという。これも味の抑制効果だ。

酸味の強いコーヒーにごく微量の塩を加えると、味が和らぎコクが出る。ただし、塩味が感知できない程度の微量にとどめることがコツで、入れすぎると失敗する。

苦味や酸味に対して、甘味にはその抑制効果がある。ミカンやレモンジュースなどが、その典型だ。

味の対比効果と温度

汁粉にわずかな塩を加えたり、スイカに塩をかけたりすると甘みが増すように感じられるのは、味の「対比効果」だ。

味の感じ方は温度によっても変わる。一般的に赤ワインは冷やさないもの、といわれる。その理由は、甘味とアルコール分は温度が高い方が強くに感じられるが、酸味は温度による変化はあまりないこと。一方、渋味は低温になるほど感度が上がるためだ。

ブドウの皮の渋味(タンニン)を含む赤ワインは、冷やすと渋味が前面に出てくる。要は、甘味と渋味、酸味、アルコールのバランスを温度によって調整するわけだ。当然、赤ワインだから絶対に冷やさないというものではなく、味のバランスによっては、冷やした方がよい赤ワインや、冷やさない方がよい白ワインもある。

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