Close

About

東京のコンテンツ制作会社が運営する
時事コラムサイト
株式会社オフィス・サウス

Prev Next
Image
Interview

産官学一体で盛り上げる「きゃっチャリ」事業㊤

2021.9.27

福井県坂井市丸岡町にある丸岡城をご存知だろうか。その古城は江⼾時代に建造されたと推定され重要⽂化財になっている。国内で現存する12天守の内最古と謳われていたが、近年の科学的調査で最古の冠はなくなったが、木造天守閣は今でもお城ファンからは貴重な存在とされている。

この丸岡城を中心に町ににぎわいを取り戻そうと奮闘している役所と市民の会が、この春「きゃっチャリ」事業をスタートさせた。この事業を担当する坂井市役所丸岡支所の前田英邦氏と、この事業の運営を任されている「丸岡城天守を国宝にする市民の会」の橋本健二氏にお話を伺った。

「きゃっチャリ」とは?

「きゃっチャリ」事業は坂井市丸岡支所が立ち上げた「レンタサイクル」を中心とした事業。お城を意味する「キャッスル」と「チャリンコ」をくっつけて「きゃっチャリ」と命名された。

前田氏によると、以前から「丸岡城の近隣には、歴代城主の菩提寺などの観光スポットがたくさんあるのに、なかなか皆さんに見ていただけない」という悩みがあった。丸岡城観光には車で来る方が多いが、近隣の寺社は「車でまわるには近すぎて、歩いて行くには距離があるから」ではないかと考えられた。「ならばレンタサイクルを使ったらどうか、というアイデアが市民の方からでてきたのです」。

「きゃっチャリ」でレンタルする自転車の形は様々。「当初はママチャリを想定していましたが、せっかくならみなさんに興味を持ってもらえるように、いろいろな自転車を集めました」と前田氏。

きゃっチャリの一部:マウンテンバイクやクロスバイク、電動アシスト付きなどを揃えている

「きゃっチャリ」は町内の2施設でレンタル可能。一つは坂井市役所丸岡支所の脇に建つバスターミナル、もうひとつは丸岡城のふもとにあるカフェ「城小屋マルコ」だ。どちらも広い駐車場があり「車を降りて、自転車に乗り換えて町内散策」ができるようになっている。

アプリで回遊促進

「きゃっチャリ」事業では専用のスマホアプリも制作した。
「きゃっチャリ」でまわる「おススメルート」の紹介や近隣の「施設案内」に加え、「デジタルスタプラリー」「スロット」といった楽しめるコンテンツを搭載した。
「遠くにいても丸岡を知って、遊んでもらえるアプリにしました。」と前田氏。

このアプリの制作には地元の丸岡高校地域協働部も一役買っている。彼らが制作した「丸岡町のスポット紹介」動画が、このアプリで採用されているのだ。

彼らは普段から町の祭りやそば打ち体験などのイベントに積極的に参加し、町を盛り上げるための様々な企画を提案してくれているという。「とても貴重な存在です」と前田氏も言う。

運営は市民の会

「きゃっチャリ」の運営を任されているのが「丸岡城天守を国宝にする市民の会」だ。
この会の目的はその名のとおりだが、活動はその範囲にとどまらない。町内にある妙光寺を宿坊にする活動や、骨董市の企画、甲冑づくりとその着初式(きぞめしき)の企画など「丸岡のにぎわい創生」を積極的に行っている。

「実は宿坊企画の中にはレンタサイクルも入れていました。『きゃっチャリ』の事業があると聞いて、だったら一緒にやろう、と。今は宿坊に泊まってくれた方には『きゃっチャリ』を無料で使っていただけるようにしています。」と橋本氏。

高校生とともに「きゃっチャリ」で町内をめぐる活動なども行っており、坂井市役所にとってなくてはならないパートナーだ。

(つづく)

INFO

坂井市公式サイト:丸岡の魅力を巡る レンタサイクル事業「きゃっチャリ」Web
一般社団法人丸岡城天守を国宝にする市民の会Web
宿坊 妙光寺 Web