ご安全に!
まもなく終わる2023年。みなさまにとってどんな年でしたか?
どんなに気をつけていても起きてしまう労災事故。今年も東京駅前の鉄骨落下事故など悲しい事故が起きてしまいました。今年最後のコラムは「来年は事故ゼロ」になることを祈りつつ、安全対策のお話です。
Highlight
「ご安全に!」は危険を伴う作業現場のあいさつ。安全のための活動をご紹介。
現場のあいさつ
「ご安全に!」というあいさつを聞いたことはありますか?建築現場や工場など、危険を伴う作業現場で働く人々の間で使われているあいさつです。朝礼などで使われているほか、作業場ですれ違った際にも「ご安全に!」は使われています。
この言葉のルーツは、1600年代のドイツのエールツ山系の炭鉱夫だと言われています。彼らが「ご無事で!(グリュックアウフ)」というあいさつを交わしていたのが、日本にも伝わって広まったといいます。
どんなに注意していても、ふとした瞬間に起きてしまう事故をなんとかして防ごうという強い意志が伝わってくるあいさつです。
安全大会やポスター
日々のあいさつのほか、こうした危険を伴う現場では、安全に対する意識を向上させるための勉強会などを定期的に開催しています。建設会社では「安全大会」と呼ばれる会を自主的に年に1度は開催しています。
現場を監督される方々はもちろん、外注先を含むすべての作業担当者が参加して行われます。作業現場の危険性やヒヤリハットの共有、万が一事故が起きてしまった際の対処方法などを学ぶそうです。
また、現場にある事務所には安全に関するポスター類が掲出されていることもしばしば。「◯×禁止」「STOP◯◯」といった「やってはいけないこと」を書いたもの、指差呼称(しさこしょう)を促すものなど様々です。ヘルメットを被った猫が主人公のポスターもあれば、おどろおどろしいイラストで恐怖心を煽るものもあります。
ポスターを動画に
サウスでは、こうしたポスター類を動画にしてご提供する事業を来年から開始します。現在は撮影した動画を編集し、サイネージ等で配信できるよう準備中です。動画の内容も知見のある方々のご意見やご感想をもとに、ブラッシュアップ中です。
建築業界で安全大会を開催している先生によると「現場で『安全』というと、子どもに『勉強しなさい』と言ったときと同じような反応が返ってくる」と言います。母親に宿題をするように言われて「今やろうと思ったのに!」と言い返した思い出がある方も多いのではないでしょうか。
「やってはいけない」ことをポスターや動画で表現することは、少し前のコラムで取り上げた「予防倫理」にあてはまります(技術者倫理=ウェルビーイング?参照)。この啓発方法は受け取る人によっては反感にも似た感情を抱いてしまうことがあります。「俺はやってるよ!」とそこから先の情報をシャットアウトしてしまうことも。
また、心理学、脳科学の観点から「してはいけないこと」を動画にして何度も見せてしまうのは良くない、というご指摘もうけました。ポスターならいざしらず、動画だと記憶の奥底に見たものが染み付いてしまうことがあるからです。
そうしたご意見から、サウスの安全啓蒙動画は大半が「正しい動作」をしているものにしました。
また、最後には優しい笑顔で「今日もご安全に!」と送り出してくれる女性が登場。皆さまが少しでも気分良く、お仕事をスタートさせられるようにと出演を依頼しました。
似たような動画で飽きてしまわないよう、最後の標語や女性のポーズはバリエーションを持たせています。
現在は流通業向けのシリーズのみですが来年は建設業向けや製造業向け、一般企業向けなど、シリーズを充実させていく予定です。ご期待ください。
オフィス・サウスならびにSouth Styleを来年もどうぞよろしくお願いいたします。
みなさま良いお年をお迎えください。2024年もご安全に!