Close

About

東京のコンテンツ制作会社が運営する
時事コラムサイト
株式会社オフィス・サウス

Prev Next
Image
Topics

シェアサイクル

2024.1.22

まちなかで見かけるようになったシェアサイクル。自宅から少し離れた公共施設への移動で「まずはお試し」と使ってみたところ、なかなか快適でした。

シェアサイクルの使用レポートとシェアサイクルと取り巻く環境についてご紹介します

HIGHLIGHT

シェアサイクルの利用は意外と簡単。各地に広まりつつあるが課題も。

意外と簡単につかえる

筆者がシェアサイクルを使ったのは平日の朝。車で行くほどではないが、歩いていくにはやや遠い公共施設への行き帰り。自宅のママチャリは運悪くパンク中、バス路線も無い、タクシー代をかけるような用事でもない。どうしたものかと悩んでいるときにふと、近所のコンビニにシェアサイクルがあるのを思い出した。

まずはサービス提供会社を検索。住所と「シェアサイクル」だけで簡単に運営会社がわかった。サイトを見ると予約には専用アプリが必要とのことでインストールする。

アプリを起動するとマップが表示され、そこから自分が借りたいステーションを探す仕組み。利用時間、返却場所などの必要項目を入力し、保証金を支払えば予約が完了する。PayPayでも支払えるので、クレジットカードの登録も必要なかった。思い立ってから、ここまでたったの15分!

予約時間少し前に、自転車が置かれているステーションに向かう。複数台止まっている自転車の中から、アプリで表示された番号が書かれたものを探す。自転車のそばに立ち、専用アプリで「利用開始」をタップすると、鍵がカチッとあいて利用できる。

筆者が借りた自転車

でかけた先で鍵をかける際もアプリから(手動でも施錠できるが解錠はアプリからだった)。
あまりにもあっさり利用できてしまい、拍子抜けしたほど。

返却時もポートに戻って、アプリ上で「利用終了」をタップするだけ。借りたポートと返却するポートが違っても問題ない。

レンタサイクルとの違い

自転車は電動アシストで、坂道もらくらく。スタート時の加速と、駐輪時の重さが気になるがすぐに慣れた。

料金も1時間6分の利用で430円とお手頃だ。電動アシスト自転車を買うとなると、ママチャリタイプだと10万円は下らない。毎日使う方ならいざしらず、たまにしか使わない方はシェアサイクルでじゅうぶんではないか。メンテナンスフリーなのも嬉しい。

同じように自転車が借りられるサービスにレンタサイクルがあるが、こちらは店舗で借りて店舗で返すことが基本。有人の店舗でのレンタルが多く、利用時間は店舗の営業時間に限られている場合が多い。

人と会うことなく予約から支払いまで完結し、24時間利用可能、専用ポートならどこででも返却可能なシェアサイクルは新しいレンタルのカタチだ。

ただ、サイクルポートに常時管理者がいるわけではないので雨上がりなどに利用する際は注意が必要。シートやハンドルが濡れたままのこともある。

国交省も支援

シェアサイクルは国交省も積極的に取り入れようとしている。

「シェアサイクルは、都市内に設置された複数のサイクルポートを相互に利用できる利便性の高い交通システムであり、公共交通の機能を補完し、観光振興や地域の活性化等に資するなど、公共的な交通として重要な役割を担っています。(国土交通省サイトより)。」

また、各自治体での実証実験を支援し、その結果を下記のようにまとめている。

シェアサイクルの社会的課題の解決への効果
①生活利便性の向上
②地域の活性化
③環境負荷の低減
④健康の増進
⑤災害時における 交通の機能の保持
⑥その他(イメージアップ、路上駐輪の減少など)

国土交通省「シェアサイクルの 公共的な交通としての在り方について」より

地方公共団体の実務担当者向けの「シェアサイクル事業の導入・運営のためのガイドライン」も策定、「シェアサイクルポートの設置に係る固定資産税の特例措置」も講じている。

まだ課題も

利便性が大きいと考えられているシェアサイクルだが、現状ではまだ課題も多い。

まずはその採算性。各自治体の実証実験の結果を見ても「採算性が十分ではない」という記述を多く見かける。事業運営の大きな課題として、自転車の再配置のコストが挙げられる。返却ステーションを自由に選べる分、一定のステーションに自転車が集まってしまうことがあるためだ。これを解消するための回収・運搬費用がばかにならないのだ。

また、サイクルポートの設置場所もまだまだ改善が必要だ。ポート数が多ければ多いほど利用者が増え、回転率も上がることから採算性も見えてくる。しかし、設置場所がなかなか作れないのが現状だ。公園への設置は都市公園法、道路上への設置は道路法など法律との調整も必要になる。
民間のシェアサイクル企業はこれを解消すべくコンビニとの事業提携をはじめている。

ポートが増え、多くの方が利用するようになれば、さらなるサービスも生まれる可能性がある。自転車のみならず、シニアカーなど「交通弱者」を救う乗り物が登場するかもしれない。適度に利用しつつ、今後を見守りたい。