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新しいリノベーションのあり方-焼津PORTERS-

2024.2.19

2023年7月末に開業した「焼津PORTERS」。官民連携で再整備したワーケーション施設です。

古い建物を有効活用した、新しい取り組みをご紹介します。

Info

焼津PORTERS 
〒425-0021 静岡県焼津市中港3丁目1-16


漁具倉庫をリノベーション

この施設は焼津市の焼津内港(旧港エリア)の「焼津漁具倉庫」をリノベーションしたもの。漁具倉庫とは、漁師の方々が使う漁網やブイなどを保管する場所のこと。焼津漁協が所有していたもので、焼津港の目と鼻の先にある。

築60年の鉄筋コンクリート製の2階建ての建物が2棟ある。もともと内部は細かく仕切られていたという。メゾネットタイプのアパートのような作りで、各戸に内階段がついていた。1部屋は10坪ほどと小さく、全部で54部屋ほど並んでいた。

老朽化も進んでおり、漁具倉庫自体は建て替えのため別の場所へ。空き物件となった倉庫を、民間活力により飲食・宿泊機能も備えたテレワーク拠点施設にリノベーション。 雨漏りやひび割れの補修と、改修を加えることで再活用することにした。

漁港というと町外れで交通の便が悪い場所を想像するかもしれないが、この倉庫の立地はとても良い。市役所から歩いて10分かからず、焼津駅からも徒歩10分程度。漁港が目の前だから景色も抜群。そこからコワーキングスペースを中心とした施設へと生まれ変わるアイデアが出てきた。

焼津PORTERSの外観

ワーケーション施設としてオープン

施設の名前は「焼津PORTERS(ポーターズ)」となった。「新たな交流」「異業種とのコラボ」を生み出す場として、また「歴史と文化を継承する港街のモデル」となるよう、現在も改修が続けられている。

リノベーションではまず小さく仕切る壁を撤去し、広々とした空間を確保した。コワーキングスペースとしてWi-Fi、空調、電源などを整備。倉庫のため若干天井が低いが、大きな窓の先に広がる漁港の風景のおかげかあまり気にならない。

コワーキングスペースは2階。最大40名のセミナーも開催できる。

4~7名向けの会議室が3部屋と、集中ブースも2部屋ある。集中ブースは誰にも邪魔されない静かなブースで、集中して仕事をしたいときには便利な部屋だ。

このほかシェア本棚やシャワー室、駐車場も完備されており、働く上で必要な施設・設備がぎゅっと詰まっているイメージだ。

シェア本棚

随所にエコ

コワーキングスペースの下の1階はフードコートになっている。焼津ならではの店舗が3店舗出店している。

焼津市内の水産加工業者と食費加工業者が集まって作った「やいづキャンプ飯」では、非常食としてだけでなく、キャンプなどで手軽に食べられる缶詰やレトルト食品を扱っている。
地元で人気の焼き立てパンのお店はカフェとして参加。コワーキングススペースから、一歩も外に出ることなく食事やコーヒーなどがいただけるのはありがたい。

また、フードコートに出店している「こめふく」というおむすび屋の取り組みは面白い。ここで使用しているお米は、焼津水揚げの冷凍カツオ・マグロの頭や尾を原料に作成した肥料で育てたものだという。海苔を巻くかわりに、その場で削ったかつお節をたっぷりかけて食べる。水産と農業をつなげつつ、SDGsも実現する取り組みだ。

店舗の紹介(焼津ポーターズマーケットちらしより)

フードコートのテーブルや、カウンターに使われている木材や大理石もリサイクル品だ。本来は捨てられる端材などをうまく活用していて、古めかしさなどは一切感じないおしゃれなスペースになっている。

企業やイベント、宿泊も!

焼津PORTERSにはこのほか完全独立型のオフィスもある。登記もでき、すでに9社が入居し活動している。

また、お祭りやマルシェなどのイベントも多く開催されている。人々が集まる「新しい形の港」としての役割をはたしはじめている。

完成予想図(焼津市資料より)

今後はここにサテライトオフィスや宿泊施設、サウナが新たに加わる予定だという。

焼津は東京、名古屋からは新幹線利用でそれぞれ約1時間30分。都会の喧騒の中での仕事に疲れたら、ちょっと行ってみるのもいいかもしれない。
集中して仕事をして、お腹が空いたらフードコートへ。考えに詰まったら漁港を散歩。汗をかいたらシャワーを浴びて、スッキリした頭で再び仕事をする。理想とも言える働き方が実現できそうで、完成が楽しみだ。