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Interview

WebXRへの挑戦

2024.5.13

AR(Augmented Reality)は「拡張現実」と訳され、現実世界に仮想空間を作り出す技術です。同じく3Dを活用した技術にVR(Virtual Reality)もありますが、こちらは作り上げた世界が目の前に広がるもの。ARもVRも「XR(Extended Reality)」と呼ばれる技術です。

「まだまだゲームの中の話でしょ?」と思われている方も多いかもしれませんが、かなり身近な存在になりつつあります。

XRをWeb上で展開している株式会社palanの佐々木さんにお話を伺いました。

Company Info

株式会社palan
〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-58-16
清水ビル2F

じゃがりこにAR!

仕事の合間のおやつや晩酌のおつまみに「じゃがりこ」を食べている人も多いのでは?
実はその蓋にARを表示させるパスワード記入欄があることに気がついてるだろうか。

これは「じゃがりこ」を人にあげる「あげりこ」という行為を、より楽しんでもらおうと企画されたものでAR技術を使っている。

じゃがりこ秘密のメッセージ 体験はこちら

「メッセージを送る人」は、専用サイトでメッセージと演出フィルターを登録。ランダムで発番されるパスワードを「じゃがりこ」に書き込み、メッセージを送りたい相手に「あげりこ」する。

「メッセージを受け取る人」が「じゃがりこ」に書かれたパスワードを専用サイトに入力すると、画面上にARフィルターが立ち上がる。ARフィルターに表示される枠に合わせて「じゃがりこ」をかざすと、画面上に3Dの「ARじゃがりこ」とメッセージが出現するというもの(2024年6月30日終了予定)。

ARがここまで身近になったかと感慨深い。

エンジニアが勝手に開発!?

このARシステムを提供しているの株式会社palanだ。同社が提供している「palanAR(パラナル)」はノーコードでWebARが作成できるオンラインツール。筆者もいくつかの案件で使わせてもらっているが、3Dモデルがあればほんの数分で作れてしまう。

palanARの編集画面

palanがWebARの提供をはじめたのは2018年ごろだという。もともとはシステム開発の会社として立ち上がったが、ARに対する熱意と知識のあるエンジニアが、その開発に「勝手に着手しました」と佐々木さんは笑う。名刺からモンスターなどが飛び出してくる「AR名刺」のWeb版をつくりあげたのだ。同時期にラボも立ち上げ、本格的にARに参入することになった。

当時はすでにAR専用アプリを使った「AR名刺」のサービスがいくつかあった。ただ同時に「アプリのインストールを名刺交換相手にさせるのは難しい」という声もあり、「弊社のWeb版のAR名刺はご好評をいただきました」と佐々木さん。

Web版にこだわって

当時はまだオンラインツールがなかったため、デザイナが作った3Dモデルを、エンジニアが都度プログラムしていた。受注件数が増えるにつれ、社内から「何度も同じことをしてるよね」「デザイナだけで完結できたらいいのに」という声が上がるように。それならばと「知識やスキルがなくてもARを作れるシステム『palanAR』」を開発した。

palanARはリリース当初から社外にも公開。2019年のサービス開始以来、イベントや教育、プロモーションなど 30,000 以上のARが作成されているという。

ARの世界ではどちらかというと後発だったpalanだが、「WebARに取り組んだのは国内では早いほうだと思います」。「Webならではの手軽さ」「お客様の声」からWebにこだわっている。

活用の幅をひろげる

とはいえ、ハード面でもソフト面でもARの技術は大きく進化している。palanもWebARにこだわってはいるものの、VR・ARデバイスに対応したコンテンツの制作やアプリの開発も行っている。またWeb版は機能的な拡充はもちろん、新たな使い方も模索している。

2024年5月現在、提供している江田島市の「AR 巡ってえたじま スマホdeスタンプラリー」ではマップとの連動も搭載した。新感覚観光マップ「AR Maps」と名付けられたこのサービスでは「ARが体験できるスポットをマップで表示」でき「アバターによる道案内」も可能だという。

「AR 巡ってえたじま スマホdeスタンプラリー」の画面 体験はこちら

このほか「バーチャル試着AR」などの新しいサービスも展開中だ。

株式会社palanは「現実とデジタルを組み合わせ、新しい社会を創る」をミッションとしてかかげている。20数名の少数精鋭部隊が今後作り出すサービスに注目だ。